シミができる主な原因は皮膚細胞内にできるメラニン色素であり、ターンオーバーの乱れや日々降り注ぐ紫外線がシミをさらに増加させる一因です。すでにできてしまったシミを消すレーザー治療は、メラニン色素に反応して熱エネルギーを出す仕組みを利用してシミ(メラニン色素)を壊していきます。硬いガラスを金づちで叩くとたった1回でも放射線状にバラバラに割れるように、レーザーという外部からの強い力を加えることで細胞を破壊するのです。
レーザーを別の言葉で置き換えると、「単一の光の波長の総称」と言えます。太陽光は赤・だいだい・青・緑など7色の光を発し波長も異なりますが、美容皮膚科の治療で使用するレーザー機器は単一の色であり波長も一つです。波長が違うと色も変わり、多方向に広がることなく一直線に当たるためシミの原因となるメラニン色素だけに反応するレーザーを使うと治療部位以外の皮膚に影響を与えることがありません。美白化粧水や美容液などまんべんなく皮膚全体をケアする場合と違い、頬の一部分だけというようなスポット的な治療が可能な理由はレーザーの性質を生かしているからなのです。
パッとみて分かるくらい目立っていたシミ(メラニン色素)がレーザーによってバラバラに壊されると、細胞内で細かくなったシミを老廃物として外に出そうという働きが始まります。排出作業の一環として一時的に濃くなったりかさぶたができたりしますが、ターンオーバーが正常に行われると10日〜1週間ほどでポロリと自然に剥がれ落ちます。剥がれ落ちたあとの皮膚はシミがない状態の新しい細胞が待っていますので、レーザー照射前に比べると「シミが取れた」という感覚が生まれることになります。
シミには種類があるので、すべてのシミに同じレーザー治療が適しているとは限りません。
まずはシミを正しく診断すること、正しい治療法を選ぶことが必要となってきます。例えば周りの皮膚との境目がくっきり分かれている老人性色素斑(日光性色素斑)はシミの代表格とも言えますが、レーザー治療の効果が出やすいシミでもあります。
皮膚表皮にできる濃いシミなのでレーザーのパワーによって十分な照射ができるシミに対して、真皮という皮膚の奥深くにできている薄いシミ(後天性真皮メラノサイトーシス)もあります。
同じ波長のレーザーを当てても効果が出ないため、違う波長のレーザーでシミ取りを試みることになります。正しくレーザーを選択しなければ悪化する場合もあり、クリニックの技術と経験が問われるのです
以前はレーザー治療ができないと言われ30代以降の女性に発症例が多い肝斑も、研究と機器の開発によって今ではレーザー治療が可能となっています。肝斑治療においてなぜレーザーが不向きだったかといえば、レーザーの照射型が問題でした。ガウシアン型と呼ばれる照射ではレーザーの中央のエネルギーが高く円心状に弱くなる傾向があり、エネルギーの強すぎる中央部で炎症の可能性がありました。また、紫外線が主な原因となる老人性色素斑とは違ってホルモンの影響があると考えられており、レーザーは不向きだとする考え方もあったのです。
最新機器である肝斑レーザートーニング(メドライトC6)は中心部と周辺のエネルギー差が少ない状態で照射するトップハット型レーザーであり、炎症を起こす可能性が少なくなっています。強いパワーを当てて一気にメラニンを壊す治療と違い、弱いパワーでありながらも効率的にレーザーを当てることで肝斑を少しずつ改善していきます。THE CLINIC NAGOYAでも多くの患者様に効果が見られ好評です。一見するとシミだと区別がつかないほど周りの皮膚との境目がなく、肝斑だと気づかずに過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。シミ?肝斑?と気になる場合は早めに受診されることをお勧めします。
たとえ長年悩んでいたシミであってもレーザー治療であっという間に消える時代になりましたが、治療と同時に必要なことはお肌の基礎を整えることです。メラニン色素をしっかり排出できるお肌の力が備わっているとシミは増えずに徐々に消えていきます。短期間のレーザー治療で取れるシミもあるとお伝えしましたが、照射は数回で済んだとしても継続的なセルフケアはどんな場合でも必須です。紫外線対策や保湿対策を怠ってしまうとまたシミは再発しますし、せっかくのレーザー治療も効果が半減してしまいます。
レーザー治療以外にも光での治療(ライムライト・アキュチップ)で消えるシミもありますので、どの治療が適しているかを決めるためには経験豊富な医師の判断が必要です。レーザーを当てるメリット・デメリットを理解した上で照射し、美容皮膚科での治療後は自宅でのセルフケアをしっかり行うことで効果も違ってきます。短期的なプロの治療技術を借りての治療と、長期的に丁寧なセルフケアの継続によってお肌はどんどん改善されます。
できたシミに対するレーザーや光治療に加え、シミを未然に予防するための治療もあります。サリチル酸ピーリングやトラネキサム酸イオン導入、ビタミンCイオン導入などを併用することでさらにシミができにくく、消えやすいお肌に近づくことができます。美容医療におけるシミ治療の研究・開発は「これで終わり」というゴールがありません。常に最先端の治療がある一方で、長年の結果を踏まえて「このシミにはこのレーザーを」というセオリーがあることも明確にわかってきています。ネットや口コミでの情報よりも一番信頼できる情報源はやはり現場の医師・スタッフであるべきだという思いから、THE CLINIC NAGOYAでは常に最新情報を取り入れる努力をしております。シミでお困りの方はぜひ一度ご相談ください。
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